霊力では抜群

 関東大震災の前年ですから大正十一年のことです。

 私といまの夫の宮崎との恋愛事件で、新聞は書き立てるし、親戚は“家門を穢した”と怒るし、とうとう私は綾部の祥雲閣に隔離されるという羽目になってしまいました。

 と申しても、大本と私とは直接の関係はなかったのですが、祥雲閣が松平頼寿さんの旧臣で中野武官さんという方の別荘だったので、中野さんと親しい柳原家では、そこへ私を預けたというわけです。

 預けられた私は、外部の人とは一切合わないことにしていました。そこで会うのは、大本の出口王仁三郎さんと、二代様といわれるスミさん、それに三代様の直日さんぐらいなものでした。

 ですから、岡田茂吉さんを陰ながら見たことはありますが、直接お話をきくというようなことはありませんでした。

 祥雲閣には、毎日王仁三郎さんが来られて、幹部を集めて霊界物語といったようなものを講義します。その幹部の中に岡田さんもいらしたのです。

 ところで、当時病気や何かを治す霊力ということになると、岡田さんは抜群だという噂でした。周囲の人が、岡田さんは偉い、特別な人間だ、というようなことを言っていました。教義の研究や宗教学では、他にも偉い幹部がいらしたかもしれませんが、霊の力となると岡田さんで、ほかの人はかなわない、ということでした。

 そんなわけで、岡田さんとは直接にお会いして、お話をきくということはなかったのですが、救世教が二代教主様になってから、私は熱海へ伺うようになりました。二代教主様はほんとうに立派な方でした。ずいぶんお世話になりました。