お父さまに古物談義

 あのころ(二十二、三才)の明主様は、夕ご飯が終わりますと、必ず銀座をひと廻りされるのが日課になっておりました。それもただ散歩されるということでなくて、銀座にはたくさん夜店が出ておりましたから、そういう夜店のうちで古道具屋に興味を持たれ、品物を手にとって研究されておりました。そして帰って来ると、お父さんに、『きょうはこういうものを売っていたが、あれは相当古くて値打のものだと思いますが、どうでしょう』とよく古物談義をしておりました。お父さんも、「じゃ、今度値打だと思ったら、買って来たらいいじゃないか」と言って、たまには買って来られ、家中で批評しながら、だんだん明主様も、骨董品を見る眼を養っていかれたようでした。