明主様は表面おおらかで、なにごとでも打棄っておかれるように見えましたが、その実、いかにも小事小悪も隠蔽は許されませんでした。全く“天網恢々疎(てんもうかいかいそ)にして漏らさず”と言いましょうか、寸毫といえどもあいまいやごまかしはきかないのでした。しかも、“威ありて猛からず”お叱りになったあと、改めさえすればよくご冗談をおっしゃられるものです。たとえば “ついうっかりいたしまして”とお詫び申し上げれば『うをしに切換えて、しつかりしなさい』などとおっしゃって、こちらの緊張をほぐして下さいました。そして、いつも『陰欝なのは大きらいだ。もっと朗らかになれ』とおっしゃいました。