明主様が花を生けられるときは、碧雲荘のどの部屋の花器も全部持って来さして、畳の上にビニールを敷き、その上に花を山のように積んでおいて、そして、つぎからつぎへとサッサと生けられるのです。
生け終わると、『これは応接間へ』『これはあすこへ』というふうで、いかにも楽しそうでした。
ご自慢のひとつは素早くサッと切って、サッと生けるお手並で、『私のは早いんだ。自然のよさを生かすんだ。要するに素直なんだな』と言っておられました。
ご機嫌の悪いときでも、花を生けられると、それが直るのです。賞められれば、一層ご満悦でした。ですから、そのへんの消息を心得ている道具屋さんのうちには、“明主様にはまず花を賞めることだ”と言っている人もいました。
こういうように、即興的に、長くいじらないで、サッサッと生けられるので、『私は同じ格好の生け花を二度生けることはないよ』とよく言われました。