お言葉は絶対

 私が二度目の御面会に行った時、明主様から、『あんた京都へ行きなさい』とおっしゃられたのです。

 私はびっくりしまして、“どうして京都へ行かねばならないのか、芦屋にいて、何も不都合がないのに行く必要はない……”と思いましたが、『京都に家を探せ』とおっしゃられて、わけが判らないのですけど、そのころ、京都に姉がおりましたので、とにかく「家を探してちょうだい」といって頼みました。姉も“変なことを言うな”と思ったらしいのですが、快く探してくれました。それで、一、二度見に行ったこともあるのですが、そのころはまだ、お言葉が絶対だということが判りませんでしたから、“こんな家気に入らん”といってモタモタして、またそのままにしておりました。

 その間、再三再四、『家はみつかったか。移らないのか』というお言葉があったのですが、申しわけないことですが、なおざりになっておりました。

 そしたら戦災に遇って、どうでもこうでも、京都へ行かされる結果になってしまいました。いま考えると、素直に、もっと早く家を探して移っていたら、戦災に遭わないですんだと思いますが、とにかく、お言葉が絶対──だということが判らない愚か者だったのです。