私は若いころ(二十代)、手に負えない乱暴者で、喧嘩の三羽烏と言われたくらいでした。それに、私は弱いから、すぐ物を持って殴りかかるようなことをするのです。自分で自分が怖かったくらい、喧嘩しては酒をのみ、あばれるという始末です。
この私を徹底的に救って下さったのが明主様です。『腹を立てるな、バカになれ』といつも言われました。
「腹を立てても、顔に出さなければいいのでしょうか」と申し上げると、明主様は、『いかん。心に思うだけでもいかん』と強くおっしゃいました。
おかげで、それからだんだん私は怒らなくなり、“怒らないのじゃなく、怒れない人間”になってゆきました。
やはり私の立腹癖について、ある時明主様は、『癪にさわってしようがないときみは言うが、犬に吠えられた時、きみは犬と喧嘩するか。善意を持ってやったのに、相手がきみに反感をもったら、そういう人間は人間じゃない。きみが癪にさわってカッとなるということは、相手のみたまと同じになるんだと思いなさい』と教えて下さったこともあります。
私の一生を通じて一番ありがたいことは、腹を立てなくなったことです。
また、私は一升酒をのんだほどの男でした。「私みたいなものでも、信仰者になれるでしょうか」と明主様に伺ったことがありました。そのとき明主様は、『だから信仰が必要なのだ』とおっしゃいました。