現代は科学至上時代<かがくしじょうじだい>で、人びとは、この科学をもって無上のものとし、謳歌<おうか>しておりますが、科学というものは、物質が元<もと>であり、人智<>じんち>でありますから、いかほど科学が進歩しても、そこからは人間にいちばん大切な道義心<どうぎしん>は、けっして生まれてこないのであります。ですから、科学を進歩させてよい世界をお互いにつくろうとしておるのでありますが、結局、道義のない世界になってしまい、ますます人間の智慧だけが発達し、そこに、こんにちの行きも戻<もど>りもならない行詰<いきづま>りというものがあるわけであります。これを救うものはと言えば、明主さまもよく「道義<どうぎ>の昂揚<こうよう>」ということを言われましたが、いよいよ日一日とそういうものが必要となってきておるのであります。それには、正しい意味での信仰心を持たなければ、この道義に裏打<うらう>ちされたよい世の中には、絶対なれないということになるのであります。