『なぜ、おぶって来てやらぬ』

 いつか、箱根へ上がりました時のことですが、日光殿がまだ出来てない時分、観山亭で、『あそこをちょっと見に行こう』と、明主様がおっしゃったんです。

 私はおぶさらなければ行けませんし、道がついていませんから行かれなかったんです。そしたら、『どうして来ないんだ』と井上さんにお聞き下されたんです。「歩けませんから」と申し上げたら、『なぜ、おぶって来てやらないんだ』と井上さんに注意されたことや、このあいだも村田さんが、「先生よくなられましたね。明主様が、“あれは吹けば飛ぶような人間だから、いたわってやらなければいけないよ”とよくおっしゃられた」と言うのです。そういうように非常に、人間ひとりを使われるのにも、お手をかけて下さった明主様です。