明主様は、いつもお手許にお盆を置いておかれ、その中にふだんお使いになられるもの(懐紙、爪切り、鋏など)を入れておられましたが、ある日、その中にはいっていた使用ずみの黒文字(楊枝)を、私は捨ててしまいました。すると明主様はお呼びになって、『なぜ無断で捨てたのか』とご注意をいただきました。
普通、一度使えば捨ててしまうものですが、明主様は何度も何度も、小刀で削ってご使用になっていることを、その時初めて知りました。そのためにご注意をいただいたのですが、こういう目に見えないところで、明主様は物を大事にされました。
また、ご自身の使用になっていたシーツでも、お背中の当たる所が薄くなったものを、何回も何回もおばさまがつくろわれ、「もうお取挽いたしましょうか」とおうかがいしても、『いや、まだよろしい』と、なかなか取換えられなかったことが、たびたびありました。