昭和二十四年の七月十七日は、私たちの結婚式の日でした。そして、このことは、私の先生を通じて、明主様にご報告いただけることを私は喜んでいました。
その日、午前中準備で意外に時間を食い、しかも、床屋が一生懸命、入念にやってくれたので、午後一時に明主様にお目にかからせていただけることになっていながら、先生につれられてお玄関に立った時は、キッカリ一分遅刻してしまいました。 お取次の人が奥へはいって行ったあと、私の耳に聴こえてくるのは、明主様が、時間を守らなかったことを大変ご立腹になって、『もう会わん』というようなことをおっしゃっておられるようなご様子でした。私は慄えて来ました。
しかし、まもなく、『会ってやろう』とのお言葉があって、お目通りがかない、先生と私とは、ホッとして応接間でお待ちしていました。でも私には、きっときついお叱りがあることだろうと、胸は騒いでいました。
やがて、明主様が二代様とご一緒にはいって来られ、明主様は、『おめでとう。きょうからは両輪だね』と温かくおっしゃって下さいましたので、私はボーッとするほどうれしく、涙ぐんでしまいました。さぞ、ひどく叱られるだろうと覚悟していましたのに、遅刻のことにはひと言もふれず、きょうからは両輪──すなわち、“ふたりだね”とやさしく言って下さったお心を噛みしめておりました。