くどいのはきらい

 御面会のとき、ある先生が所属の問題につき、同僚間でいざこざが起きて、困惑している旨のご報告をながながとされると、明主様は、『私はくどいのは嫌いだ』と途中で制せられ、『みんなケツの穴が狭い。そんなことと人類救済とどういう関係があるんです』と穏やかにお叱りになり、『そんなことでは、いまに警察部を作らなければならないことになる……』とおっしゃいました。

 まことに軽妙な、ウイットに富んだ明快なご裁断です。一同爆笑のうちに幕切れとなりました。

 「わたくし鰻屋のお内儀なんざんすが……あのう……うちのお店でねえ、龍神様を祀ってたんですが……」
つぎが派手な衣裳に身を包んだ年増婦人の、さらに一層輪をかけた、くどくどしい質問で、時々“宅のご主人が”などと、自分の亭主に“御”の字をつけたりするので、周りにいる先生方がやきもきします。

 ところが明主様は、平然と笑みをたたえられて、最後までお聞きになっていらっしゃる。お答えも平明に判りやすく、実に丁寧なるご解答です。私はそのあまりの違いさに、その時はちょっと奇異に感じましたが、それが対機説法の模範であることを、後日になって感銘も新たに理解させていただきました。