昭和二十年の五月、私は初めて東山荘で明主様にお目にかかりました。
その日、明主様から特別のお言葉をいただいたわけではありませんが、“明主様にお目にかかれた”という身にあまる光栄に感激し、それから郷里の伊豆に寄って、時局がら非常に物資が欠乏していましたが、いろいろと手をまわして、鰹節と伊勢エビとを少々求めました。
そして、さっそく翌日、ふたたび熱海へ行き、それをお屋敷にお届けいたしました。
さて、帰ろうとしましたところ、お取次いただいた御奉仕の人に呼びとめられて、明主様のお言葉をお伝え下さいました。
明主様は『この品には誠がこもっている。いいものを届けてくれてありがとう。鰹節は日本の代表的な特産物のひとつで、カツオという言霊もいい。このように誠を持ち続けるなら、あなたは、きっと運命も開けて、世に勝つでしょう』とおっしゃられた、とのことでした。
このお言葉を胸に抱きしめて、私は布教地の関西へ帰りましたが、明主様のこのひと言が、その後の私の運命を決定づけたと申してもよいでしょう。