岡田教祖さんにお会いして、最初に私の胸に来たのは、“いい方だなあ”ということでした。
そして、からだの小さい人だなとお見受けしたのでしたが、東宝の小林一三さんも小さい人でしたので、その点何か似ているなと思ったことでした。
その席上、岡田さんはあれだけの方でありながら、私どもにもいろいろ気を使って下さって、謙虚で実直なお人であるように感じられました。
お茶席などにお出になっても、ご自分は決して正客になられなかったそうですが、それでいて有名な瀬津伊之肋さん、水戸幸(吉田幸太郎)さんたちが草履とりをしているのですから、岡田さんもたいしたものです。
あの人たちぐらいになれば、相手が大金持であるとか、よく買ってくれる上顧客であるからといって、そうそう頭を下げる人ではないはずです。茶席ではなかなかいばっているんですが、それが岡田さんには草履とりなのですから、お偉い方だなあと思いました。
その教祖さんとお話していて感心したことは、相手から学び取るという熱意がありありとわかったことで、いちいちメモをとられたりして、あれだけの位置におられながら、“勉強する”という飽くまでも上向きのご生活をしていられるのは全くお偉いことです。
岡田さんには、前後四回ほどお目にかかっていますが、一度は信者の方と話をされておられるのを傍らで伺いましたが、やっぱり教祖としての権威と識見を備えておられると思いました。そして、その岡田さんにとって、私は言わば異教徒ですし、そして私自身宗教の専門家ですが、その私にすこしも悪感情を起こさせなかったほどの方です。それほど謙虚で、寛容性に富んだお人で、私の話をよく聞いて下さいました。
それに、お料理についても大変くわしいようで、和食もそうでしょうが、特に西洋料理にも一家言をもっておられたようで、私のちょうだいしたものも、いちいちお指図をして下さったようでした。私のために特に、西洋料理風の精進料理をつくらせて下さったことを覚えています。