箱根観山亭が出来てまのないころのことです。
ある日、ある教会長さんが、明主様のところへ、何か相談なのか、お伺いに来られました。そのとき私は、明主様のお側でお原稿の整理をさせていただいておりました。
明主様は書きものをなさりながら、その教会長さんの話を聞いておられましたが、明主様が最後に、『ああ、そうすればいい』とおっしゃったそのお言葉だけが、私の耳にはいりました。教会長さんは、「では、そういたします」と言って帰られました。
そのあと、明主様は私に、『さっき、わたしが言っていたこと、おまえにわかったか』ときかれます。私は何も聞いていなかったので、「わかりません」と申し上げました。
すると、明主様は、『そうだろう。わたしにもよくわからなかった。だが、あの人は、すっかり自分で計画をたてて、それをわたしに話しに来たに過ぎないのだ。形は相談のようだが、実は承諾させに来たようなものだ。だから、“そうすればいい”と言ったのだ。そうしたいと言うから、そうしたらいいと言ったのだ』と笑っておっしゃいました。
私どもが御神業をさせていただく場合、こういうことを知っておかなければならないと、気がつきました。