簡にして要を得たお話ぶり

 岡田さんは、当時、大本明光社の文芸関係の会合にはすべて出ておられました。出られないでもいいような時でも、ポッと出て来られますので面食らうことがありました。

 そういう会合でお見受けする岡田さんは、まことに謙虚な方でして、みなが発言しても出しゃばらず黙っておられました。そうかといって聞いていないのではないのてす。聞くことはちゃんと聞いておられました。そして、時たま人を笑わすような、また意表に出るようなことを簡潔にサッとおっしゃる方でした。

 また信仰的にも熱心で、つまらないことをいつまでも、くしゃくしゃおっしゃる方でもありませんでした。

 岡田さんは大本信仰の中でも、特に病気治しに関心を持たれ、熱心になられましたが、これは、人の苦しみを救ってやろうという熱情に燃え立っておられたからだと思います。その岡田さんのお取次(病気治し)は、すばらしい力がありました。そして“どうしても人を助けてやりたい”という気持を神様にお願いされ、その結果どんどんご神徳をいただかれて、さらに確信を深められ、ますますその気持を推し進めていかれたようです。

 しかし、性格はきわめて穏健な方で人が十言しゃべるなら、自分はひと言か、ふた言というような方でした。
それがまた非常に要を得ておられました。

 朴訥な方ですから、人づき合いもそう悪いということはなく、別にチャラチャラするような方ではありませんてした。

 時々、冗談ひとつ言いましても、意表に出るようなことを言葉みじかに言われる程度で、別にどうというような方ではありませんでしたが、ただ、ご自分の奥さんを呼ばれるのに、『よっちゃん、よっちゃん』とおっしゃったり、それから『きみ、ああだね、こうだね』という呼び方をなさっていました。これは当時としては普通の家庭のご主人とはちょっと違ったところでした。当時、信者の中でそういう言葉を使う人はありませんでした。