情の深い信仰者

 私は大本の先輩として、岡田さんが信仰生活にはいった、つまり大本入信の最初からいろいろお世話申し上げた関係上、親しくしていただきました。

 そして岡田さんの信仰は、家業の関係もあり、最初のあいだはいろいろ曲折もあったようですが、やがて断然光って来ました。

 第一岡田さんは、金まわりもよかったし、また、よく切れた人でした。例のお化け人形といって、深川に等身大のおかめの人形があって、それが持主を苦しめるというので、岡田さんと一緒に鎮魂に行ったこともありましたが、そしてこの経験が、岡田さんをして霊の世界の探究に深くはいって行かれた動機だったと思っていますが、その鎮魂の時なども、よく菓物を振舞ってくれたものです。親切な人でした。

 信仰のこともよく勉強されたし、また行くところ、行くところでお道の宣伝をされました。

 それに、非常に親しめる人でした。一見、他の人とは異なるところがないようでいて、どこかしら、こちらの信仰が進んできた目でみると、高い霊格を持った人であることが、だんだんわかってきたように思います。

 その霊格ということですが、岡田さんは、初めはご自分でも気がつかず、信仰がたかまるにつれて、それに気づかれたが、隠されていた。やがて大森分院の支部長となられてからは、それをだんだんと隠そうとはされなくなり、言葉のはしはしにそれがチラついたようです。そして最後には一宗を創立されるに至ったんですが、総じて、話し上手でもあり、また人の話も聞き上手な方で、信仰者として親切な情の深い方でした。

 これは大分あとのことですが、ある所で、岡田さんの書いた『真善美』 の額を拝見しました。そこで私は、〝「愛」という字をなぜ入れないのか〟と手紙で質問しました。

 そうしたら、早速ていねいな返事をくれて、『愛は神様から流れて来るものだ。だから真善美全ければ、愛はおのずからそこへ集まって来る』という意味でした。深く印象に残っています。