昔、明主様が観音様をおかきになる時、最も不思議に感じましたのは、お顔をお書き上げになると同時に、お顔の部分だけが際立って白く変色することでした。
大森時代、出入りの表具屋が表装中、同業者のひとりが訪ねて来て、そのお顔に見入って、「この観音様の顔には、胡粉が塗ってあるだろう」と言ってきかず、奇蹟は、特に御神体として観音様専一にご奉斎するようになった大日本観音会当時から、顕著に続出しました。
そのころ、御神体から光明が放射するのを見る人も無数にありましたし、お笑いになられたり、お目を瞬たかれたり、絵から抜け出されて、数メートルお歩きになったりするのを拝した人もあり、お二階にご奉斎しているだけで、階下までも光明が漲り、美しい五色の光雲が漂い流れて、悦惚として観音様をお迎えした家庭は天国になることを、はっきりと知らされたという奇蹟もよくありました。
また、大宮支部にあって、精神病者が三日で全治した時など、本人の話によれば、神前に額くと、生きておられるように床の間の観音様がお絵から抜け出られ、患者のそばに寄って、種々のことをお教え給わって、初めて本心を取戻したとのことで、これなども破天荒の奇蹟的事実であったと思います。
明主様のお絵姿は、真善美の完全無欠な最高芸術であり、神秘霊妙な生命のご創造であったのであります。それで、ついには指を舐めて、擦って本て不思議がったということもありました。
またそのころ、よく表具屋が、明主様の描かれた観音様を表装中に、それを跨いだところ、何かに投げつけられるように転倒して、大変恐懼したこともありましたが、明主様の観音様は、たしかに生きておられたのです。