明主様はご運動のために毎日のようにお散歩をなすったのですが、そのお出かけの時も、また、ひと賑わいがあるのでございます。 明主様はあの通りの素早さでございますから、『出かけるよ』とおっしゃいますと、もうお玄関に出ていらっしゃいます。
ところが二代様は、あんなに太っておられましたし、万事悠々としておられましたから、そう簡単にはまいりません。なんだ、かだと時間がかかりまして、やっと玄関にお出になったかと思いますと、「ああ、そうそう襟巻を忘れたわ」とおっしゃって、またノッシノッシと引返されるのです。
こういうことが始終でございまして、車に乗られましても少し走り出したところで、「あらっ、だれそれさん所へお持ちする物を置いてきてしまったわ」と、また引返されるのです。
明主様はその度に、『やれやれ、またか』というようなお顔で仕方なしにお待ちになるのです。明主様の〝怒りを抑える修業〟というのは、この辺でなすったのではないかしら――と、これは冗談ですが、そんなような具合で、二代様に大変のびのびと振舞わせていらっしゃいました。