『世界救世教誕生の意義と使命 人類の救済と世界平和に貢献 【自観教主開教の心境を語る】』

 今回、宗教法人日本観音教団及び日本五六七教は発展的解散をなし、高遠な理想の下、世界救世教が宗教法人として新発足ここに本教はさらに新しい歴史の門出に立つことになった。思えば昭和二十二年八月、信教自由の旗の下呱々の声をあげてから二星霜<にせいそう>余、実に短期間ながら宗教界稀にみる興隆発展を遂げたのであるが、しかし世の戦後的望嫉視の風潮に禍され、これまた意外な苦難と障害にいくたびか逢着、全信徒の焦慮苦と苦悩は筆舌に尽くせぬものがあったが、ただ正義の前にはそれら邪神の群は次第に消滅、漸く本教の真価燦然<さんぜん>と輝く段階に入ったのであった。このとき本教の転換はまことに感無量のものがあるが、これみな新時代に対処すべく、すべて神意にもとづいたものであり、神への奉仕と、救世の『誠』はより強大に推し進められ、信仰による世界平和と人類救済の大業に向かって新たなる威力と光芒を放つであろう。この歴史的な興奮漂う浅春の熱海別院で、記者は自観新教主からしたしく『開教宣言』の意義と将来の使命についてきくを得たのである。新教主の居室『サンルーム』の窓外には早ざくらがもうチラホラ咲き初め、新しい希望が満ち溢れていた。

以下対談の要旨
問「開教と改教とはどう違いますか」

答「こんどの場合は開教であり、改教でもある。そのどちらにも通ずるが、しかし使命の本質からみれば開教の方が正しいかもしれない」

問「では開教はいかなる意義をもって誕生したのですか」

答「すべてこれ神意によるもので、使徒たる私の意志によって発露したものではない。まあ神の御都合上、こういう新しい段階に入ったものと信ずればよい」

間「その御都合とは大先生の御霊感にどんな風に顕れましたか」

答「第一に仏力衰退の兆すこぶる顕著です。もちろん仏教そのものの存在理由は大いにありますが、たんなる経文を読んで、極楽浄土への来世御利益を願ってばかりいては、到底複雑な今の人間は済度し難いものがあると思います。現にいまの仏教界、お寺の有様をみれば誰でも理解がつくように、有為転変の移り方があまりにも悲惨すぎる。敗戦のための人間下落を嘆いて責任を回避するがごときは大乗の仏法のとらぬところと思うが、それにしてももう少し生きるものへの救いの業がなければならぬと思う。そこに仏力廃頽の一因が蔵されているといわねばならない。第二に神社凋落<ちょうらく>の趨勢<すうせい>いよいよ激しい事だ。これは仏力よりも低下し、神社に本当の神威あるやとさえ疑問を抱かざるを得ない。まことに寂寥<せきりょう>の感深いものがある。従って本教が観世音菩薩を信仰の象徴とすることには変りはないが、しかしこれまでの観世音菩薩とは、その御使命の方途が非常に変られたといいたい。またミロク大神もそうだ。分りやすく言うならば観世音菩薩は化身仏であらせられたが、御本体である神のお働きとなり給い、いままでよりはさらに位が上位に御成り遊ばされたと言った方が至当であろう。従ってその御救いの御力がいままでよりいく倍か強くなったという見方ができるのである」

問「大先生がこんど教主になられた理由は・・・・」

答「神の代行者として表面に出たまでである」

問「新教の新教理を御伺いしたい」

答「世界全人類の救済を最大の理想とし、ことに善悪の区別をハッキリして、悪を滅し善を大いに助けてゆきたい。これが神の御意志である。善にして酬われざるもののいかに多きことか、実に慨嘆にたえない。新教はまず善人をあらゆる手段を尽くして救済し、人類世界から暗黒面を徹底的に除去するトリデとしていきたい。その為に悪鬼どもとのたたかいは依然つづくであろうが、これは一つの過程として忍ばざるを得ないだろう」

問「世界救世教の世界的な意義は・・・・」

答「信仰によって世界全人類を幸福にみちびくのがその最大の目標です。しかし西洋にはキリスト教があります。そのキリストの曰く、″天国は近づけり・・・″はわが教理と最も近きにあり、わが教理は″現世の天国″を一日も早くつくることにある。キリストの遺訓まことに立派で、やはり世界人類救済の神力や偉大です。私はわが新教はこのキリスト教と呼応し、東洋において、わけてもまず日本で、人類の善導と救済に全智全能をあげて働いてゆきたい。従ってこの事が今後の世界平和に必ず大きな寄与をなすものと堅く信じています。まことに本教こそ日本で生まれた最初にして最大の世界平和推進に役立つ宗教であろう。宗教に国境なしという言葉がある通り、本教の真面目と現実の霊験が納得できれば、必ず日本人はもちろん東洋人全体が真に平和に徹した高邁、清純な精神を保持することが可能である。世界平和のために、人類世界の闘争をなくするためにも本教将来の活動が活溌にならなくてはならない。この真理を了解できざる人々こそ平和を希求しない不幸な人々だといえよう」

問「いまの御説は、前からの大先生の持論だった、と思いますが・・・・」

答「その通り。神の御力が増したから、この理想はさらに現実的に大きくなるわけである」

問「病貧への救いの業も更に威力を増すことになりますか」

答「いまより以上に最大の力を発揮するであろう。善の心をもてる者はいかなる難病、苦労からも必ず救われる。これが開教宣言真実の告白であり、疑うものはまず試されてのち批判されるがよかろう」

問「本教がここに第二の発展段階に入ったのでありますが、それにしては未だ本山というものがないが、今後これをどう処理されますか」

答「本山になるべき熱海瑞雲郷に、御承知のごとき建物の造営を急いでいるが、資金が思うようにできぬのでおくれている。しかしいかなる宗教と誰も本山のないのはおかしいし、又全信徒の熱望もあり、可及的速かに聖堂の竣工を計る事にした。建物と共に、瑞雲郷にも一大花園を展開することにし既に準備に着手した。熱海随一の景勝の地に春来たりなば、繚乱たる百花の園が新たなる光彩を放つであろう。かくして地上天国の構想は夢から現実へたくましい歩みをみせるのである。神意の広大無辺に全信徒も心を安んじておすがりしてゆけば道は必ず拓けるのである」 
(文責在記者)

「救世48号」 昭和20年02月04日

救世