一を聞いて十を悟る

 昔、大本教のお筆先について、『あれもすぐわかることなんだよ。きみにはわからないかもしれないがね』と明主様はおっしゃって、『そのお筆先に“唐土の鳥が飛んで来て、日本の鳥は蹴飛ばされるぞ。足もとに火がつくぞ”というのがあるが、その通りになる』と言われたことがあります。

 そこで私が、「足もとって、どこですか」と伺うと、『そんなことが判らないのか。膝元だよ。日本の膝元は東京だから、東京がいまに火の海になるんだ。唐土の鳥は羽も強いし、足も強い。日本の鳥は蹴落されてしまうのだ。一を聞いて十を悟るような身魂でなくては、御神業は出来ないんだよ』とおっしゃいました。

 私は、そのことを、戦争(大東亜戦争のこと)がすんでから、ようやく判ったんです。

 関東大震災の時も、そうでした。大本の出口先生が大火の絵を描いて、これを明主様に下さったそうです。それは大きな絵で、画面全体が火の海になっているものでした。明主様は、それをごらんになってお悟りになり、大森へ越してゆかれました。そのあとが、あの大地震です。

 やはり、偉人と偉人で、口で言わずに絵で示して、明主様もそれをすぐ悟られて……とにかくロヘ出したら大変な時世でしたから。