『不正確な時計なら持つな』

 明主様が“お三時”を召上がるのは、午後三時と時間が決まっておりました。その場合、三時きっかりにお持ちするよりも、『五分前に持って来なさい』とよくおっしゃいました。『遅れてはいけない。早い分には五分ぐらい早くてもよい』ともおっしゃいました。

 ですから、最初のころは、すべてなんでも五分前にさせていただくのです。
 ところが、そう決めると、また失敗するときがあります。
 たとえば、ラジオで七時半から落語がある場合、少し早めにスイッチを入れます。しかし、五分前にはまだ録音ニュースで相撲の放送をやっていたり、民法では薬の宣伝をしていたりして、明主様のお聴きになる番組はまだやっていません。すると、『おまえは、私に何を聞かせるんだ』とおっしゃられ、ご注意をいただくのです。

 『ダイヤルを合わせるのは一秒か、二秒。それが出来なきゃ、近代人の資格なし』と御教えいただきました。

 また、自分の時計が遅れていて、ご注意いただいたことがあります。それが三十秒か、一分の違いでもいけないのです。『遅れに気づかないのは、時間に対する観念がうすいからだ。近代人は時間の無駄があってはいけない。不正確な時計なら持つな』と厳しくお叱りいただくのです。それで、『そんな時計はすぐ取っ替えよ』とおっしゃられ、時計屋にすっ飛んで行ったこともありました。