私は寺に生まれ、仏教の畑の中で育ちましたから、仏教の教えとお道の関係についても大変な疑問を持っておりました。
その疑問というのは、観音弥勒同体説や、仏滅の世が来て観世音菩薩が最高神として出現し、救世主のお力をお揮いになるという点でした。そこで入信に当たっても、私の恩師である教会長先生に対し、その点ご無礼を通り越すほど、いろいろ失礼な質問をしておりましたが、どうしても解決がつかなくて悩んでおりました。
ちょうど、そんな時(終戦直前)教会長先生が明主様の所へ御面会に行かれましたところ、その席上いろいろなお話が出た後で、明主様は先生に対し『悲華経(ひけきょう)というお経を読んでみなさい』とおっしゃったそうです。そして『お釈迦さんは、われ七十二才にして見真実にはいった。見真実にはいってみたならば、いままでこの世を治めておった阿弥陀如来は引退なさって、それまで菩薩の位にあった観世音菩薩が「変出一切光明功徳山王如来というお名前のもとに、これからの世をお救いになる、つまり皇太子の位から帝王の位になられる。これがすなわち世の移り変わりである』という意味のお話があったそうです。
当時、明主様が光明如来様のお働きとしての御神業をなされていたことも、また長年の私の心の疑いも、このお言葉によって晴らしていただくことが出来ました。
それにしても、私の名前はもちろん、どこにどうしておる青年やらご存じないはずの明主様が、まるで私の心の疑いの、その一番の急所をお見抜きになって、たったひと言、『悲華経を読みなさい』とおっしゃったことに対し、当時、非常な感銘をおぼえました。
遠く幾百里離れておっても人の心を洞察され、たったひと言でご解決下さる。正に神人合一のご境地、いかにご霊格の高いお方かと、つくづく感激しました。