五才の印象

 昭和十年、明主様が麹町半蔵門におられたころ、わたくしの一家は、みんな疥癬のご浄化をいただいたの
です。

 当時、わたくしは五才、下半身がひどい疥癬で、半ズボンから出ている脛は、まるで脚絆を巻いたように、包帯がぐるぐる巻かれていました。

 明主様はご浄霊をして下さったあと、『さあ、これでいいよ』とおっしゃいました。

 わたくしが母のところまで来て、ぬいだズボンをはかせてもらおうとした時、引上げるズボンにつられて、左足の包帯がグルリひとまわりしました。「ああ、もう治っちゃったんだな」と思い、今度は右足の包帯を手で動かしてみると、これもズルリと動いたのです。

 わたくしはそこへヘタリとすわってしまい、泣き出したいような気持で、明主様にお礼を申し上げると、『よかったね』とおっしゃられました。その時のにこやかな、慈悲あふれるお顔が、いまも感動をもって思い出されます。