筆ダコに涙が出た

 昭和二十九年のことです。明主様はいつものようにご調髪されたあと、私に向かって、『私の手にさわってごらんなさい』とおっしゃるので、私はなんの気なしに、明主様のお手を拝見いたしました。

 明主様のお手は、柔らかで、キャシャなものと思っていました。また、そうであってよろしいのです。ところが私は、とたんに、「あっ」と声をあげんばかりに驚いてしまいました。  なんと、案に相違して、明主様のお手は、柔らかいどころか、キャシャなどころか、実にゴツゴツして堅いではありませんか。まことに割切れないので、おうかがい申しますと、『これが筆ダコでね。信者のために書いた「おひかり」の筆ダコですよ』と申されました。

 信者のためこれほどまでにと、私は明主様のお手をさわりながら、涙が出て涙が出て、とめどがありませんでした。