明主様は、ある時、某映画監督の処女作を感銘深くごらんになって、非常にお喜びになられ、特に一賞を贈って、その優れた演出を激賞せられ、そしてその後、映画芸術向上のために大いに精進するようその監督を激励されましたが、この芸術のためのご熱情には、私自身涙ぐましい感激を覚えたことがあります。その後、その監督は一作ごとに次第に名声を博し、今日有数な監督となっていますが、だれよりも先に、そのすぐれた才能をお認めになったご明敏さには、全く驚歎のほかない次第です。
また、明主様は、卓越せる映画批評家でいられました。シナリオ、演出、演技、撮影技術、音楽に至るまで、実によくご研究になっておられ、専門家も届かぬ鋭いご批判眼に、私どもは強く啓発されました。