明主様は、物を徹底的に大切にされました。
鼻紙も二度お使いになったほどでした。また小さい紐でも、鋏で切るということはなく、丹念にほどかれるのです。「鋏をお持ちしましょうか」と申し上げると、『いらない』と言われます。
お手許のお盆の上に、いつも「朝日」が置いてあり、灰皿にタバコ立ての穴があいていて、一本を一度に吸わずに、ちょっと吸っては、その穴にさして消して、また、吸われるのです。一日に朝日一本で足りたことも、あったと思います。タバコも不足がちの戦時中ですが、これは、タバコを粗末にしないということばかりでなく、ゆっくり一本をくゆらすという余裕もない、忙しい毎日だということにもなります。私たちはタバコをやめて、明主様に差上げたくらいでした。
しかし、味にはデリケートであられました。タバコを二本させるパイプを作らせて、別々のタバコをそれに差し、カクテルにして味わっていられたこともありました。もっとも、明主様のタバコは、吸うのではなく、ふかすので、これは昔から有名だったそうです。