ほんのわずかの違いでも
明主様のお召物の仕立には、私はずいぶん気をつけました。たとえば、衿巾がちょっとでも狭いとすぐお気づきになられて、縫い直しを命じられますし、丈などちょっと違っても、ほんとうに二、三ミリぐらいのちがいでも、すぐ気がつかれて …
返事を書いて出す方も
たしか昭和二十八年の夏ごろ、ある映画雑誌社が各方面にアンケートを求めたことがありました。 その一枚が明主様のところへ舞い込んだのです。きっとその雑誌社は、明主様が大の映画ファンでいらしたことを知っていたのでしょう。そ …
緊張ほぐしの冗談
よくお側にいまして、私どもが緊張してお仕えしておりますと、それをほぐすように冗談をおっしゃったり、昔ご自分がご商売をしておられたころのお話をして下さいました。 そして、『昔は“スキ油一本おくんなさい”と行って買いに来 …
明主様をにらみつけた大鯛
ご長男に赤ちゃんがお出釆になった時、明主様はそのお祝に、大磯のご長男のお宅へ行かれました。 私も調理のため、お伺いしていましたが、その時、明主様は、私の家内がお孫さんを抱いて出て行くと、それをごらんになられ、『この赤 …
『育ちは争えないねえ』
おやすみの時は、私たちは明主様ですから、むろんおふとんを厚くして、二枚お敷きしたところ、『私は育ちが育ちのせいか、薄い方が好きだ』とおっしゃられ、一枚とらせていただいたのですが、『やはり育ちは争えないねえ』とお笑いにな …
『なれれば天国だよ』
昭和二十三年、清水町の仮本部へ御面会に行った時のことです。御面会後お側の奉仕者から、「きょうは忙しいからお手伝いしてほしい」と言われ、献上品の整理をしておりました。すると一緒に整理していた先輩の奉仕者が、「この献上品を …
落語“釜ドロ”に涙をためてお笑い
あるとき、私は、非常におもしろい落語を咲見町で聞いていたので、それがバカにおもしろかったものですから、お退屈しのぎにと思いまして、「明主様、落語をひとつ申し上げましょうか。もうお聞きになっていらっしゃるようでしたら、ひ …
『うん、そうか。それでよし』
私たちが廊下で立ち話している時、明主様がおいでになられたのを知らないでいますと、明主様が首をお突込みになられて、『ウン、ウン、そうか。それでよし……』なんて──。 そうかと思うと、何か申し上げて御用がすんで、なお、し …
『巾着切はもう大丈夫』
ある日、お風呂におはいりになられますとき、脱衣場で「時計をおはずしいたします」と申し上げて、私は明主様の腕時計をおはずしいたしました。 さて、いよいよお湯殿へはいられるとき、時計がないのに気づかれた明主様は、『おまえ …
ひどい悪口にも大笑い
明主様は、歌集『山と水』に、 笑うたび 涙の出ずるくせ未だ そのままにして年重ねけり とお詠みになっておられますが、笑冠句を私が読み上げる時などは、たえずボロボロと頬を伝う豆粒のような涙をハンカチでお拭きになりながら …