『いいと思えば、それでいい』
あるとき、碧雲荘へ行きましたら、床の間に栖鳳の絵がかけてあって、明主様は『どうだ、いいだろう』と言われました。 それで、私は、「大変結構のように思うのですが、まだ、ほんとうのよさが呑み込めなくて……」と申し上げました …
ほんものでも保存が悪ければ
私の親類に、仁清の作品を四点持って自慢している者がありました。明主様に申し上げましたところ、見たいとのお言葉で、箱根に持参いたしました。昭和二十七年の夏でした。 明主様はひと目ごらんになるなり、そのうちの三点はほんも …
お買いっぷりのよさ
明主様が美術品の収集を始められたころの思い出を、少し書いてみたいと思います。 一番初めはたしか昭和十九年の春ごろだったと思います。いつものように、二代様と映画見物にお外出になり、帝国ホテルでお食事をお召上がりになって …
家庭内に天国的雰囲気
明主様は、まだ信徒十数名を数えるくらいだったそのころから、何よりも芸術を奨励されました。そして、『一家の中には、ひとりでもいい、芸術を楽しむものがあるべきである。それだけで家庭内に天国的雰囲気が漂い、おのずから裕かにな …
日本の宝の海外流出を防ぐ
明主様は美術の面において、終戦直後の日本を救ったと同じでしょう。みんな外国人が買って行くのを明主様が買いとって、いま美術館というものにしてあるということは、国のために国宝のようなものを、海外に持ち去られずにすんだという …
心はすべてに通ずる
明主様が茶器の扱いについて、たしか、これもお叱りをいただいた時でありましたが、『私はお茶はやらないけれど、その心はわかるんだ』とおっしゃられたことがありましたが、心はすべてに通ずるものという御教えだと思います。
上座にふさわしいものは上座に
私どもは明主様から『相応の理』ということも教えていただきましたが、プラグマチズム、宗教行為主義をお説きになった明主様は、この相応の理ということひとつも、ご日常の随時随所に生かすと申しますか、応用すると申しますか、ともか …
尊いのは個性を活かすこと
春季大祭の奉納演芸に出演した徳川夢声氏と、明主様が対談なされた際、談はたまたま書のことに触れました。 『私の書は個性を活かしている。普通、一度、型にはまるとその型が破りたくも、なかなか破れないものだ。書はその人の個性が …
『私の書のどこがいいのかな?』
ある時明主様は、『書でいいのは一休禅師だ。一休のはうまく書こうなんていう気持がない。ちょっと見ると下手クソみたいだが、なんらのてらいもなく、自然に書いている。その自然さがいい』 そして『私の書をほめる人があるけど、ど …
欲がからんで死んでいる字
明主様はむかし機関紙『救世』から『栄光』に改題されます時、その『栄光』なる題字も昔の『読売紙のような草書体で専門家に書かせよ』と命ぜられました。早速お言葉に従って、名前は失念しましたが、書道の大家にお願いにあがって、“ …