お食事を召上がっておられる時に、たとえばお好きな音楽──ヨハン・シュトラウスの“青きドナウ”──などが聞こえてくると、お箸をおとりになり、拍子をおとりになられるのです。
その時のご様子は、なんと申し上げますか、ほんとうにほほ笑ましいと申しますか、かしこまってお部屋にはいらせていただきましても、思わず吹き出したくなるほどで、そういうユーモラスな一面もおありでした。それから、私が御奉仕に上がらせていただいたころ、お嬢さま方はまだどなたもお嫁に行かれないで、ご家族さま全部がお揃いでいらっしゃったのですが、ラジオでカルメンの曲が聞こえて来ましたら、みなさま全部が音頭をとっておられるのです。まったく楽しいお食事風景でした。